大学の副専攻制度とは?メリット・デメリット・履修するべきかを解説

近年、副専攻カリキュラムを充実させている大学が増えています。
大学のガイダンスなどで副専攻を紹介されるものの、いまいちメリット・デメリットがわからないという人も多いと思います。
- 副専攻が増えている理由
- 副専攻のメリット:学問分野、視野を広げられる
- 副専攻のデメリット:学習時間が分散する
副専攻制度について、現役大学職員が紹介していきます。

副専攻とは
副専攻について、文部科学省のホームページでは以下の通り記載されています。
主専攻・副専攻制
主専攻分野以外の分野の授業科目を体系的に履修させる取組であって、学内で規程が整備されている等、組織的に行われているものをいう。
副専攻は、主専攻とは別に大学内で取り組んでいる副次的なプログラムを指します。
例えば、以下のようなイメージです。
- 主専攻:文学部、経済学部、工学部(学士取得)
- 副専攻:数理・データサイエンス、観光マネジメント、国際
この副専攻は実際に東京都立大学で設置されているプログラムです。
主専攻として、文学を勉強しながら、副専攻で観光について学ぶといった例です。主専攻は124単位以上であるのに対して、副専攻は10~30単位で設定されているものが多いです。
副専攻のメリット
興味のある分野を体系的に学び、視野が広がる
副専攻は大学が設置しているプログラムなので、分野について体系的に学習することができます。主専攻とは異なる分野を学ぶことで学問の視野が広がります。
視野が広がることで、主専攻の学びに応用が期待されるほか、2つの分野に詳しいことを自分の強みにすることもできます。例えば、文学学士はたくさんいますが、「文学×観光」という組み合わせであれば、貴重な人材として進学・就職時にアピールできるかもしれません。
主専攻と副専攻をミックスした卒業論文を仕上げるのもいいでしょう。
修了証明書を取得できる
副専攻プログラムは、大学が設置している制度なので、プログラムを修了すると修了証明書を取得することができます。大学のお墨付きによるものなので、一定の社会的証明を得られます。
他学部の興味のある授業を「モグリ」で受けても単位を修得できませんが、副専攻であれば単位修得はもちろん、証明書も取得することができます。

副専攻のデメリット
学習にかける時間が分散する
副専攻のデメリットは、学習時間の分散です。主専攻に費やしていた勉強時間を、副専攻に回す必要があるため、時間が足りなくなります。
副専攻の授業に集中しすぎて、主専攻の単位を落として留年となることも考えられます。
実際に副専攻は、近年注目されている分野(AI・サステナビリティ・グローバル等)を扱っていることが多く、主専攻よりも力を入れている学生もいます。副専攻で興味をもった大学院に進学、転部などの選択肢も頭にいれながら、主専攻とのバランスをとるようにしましょう。
関連記事:大学の転部・転科・転コースは難しい?メリット・デメリット
就職には役に立たないと言われている
大学が定めるプログラムで修了証明書などが発行されるとはいえ、就職や進学で有利となることはほとんどありません。就職活動では学習成果よりも学歴が評価されているのが現状です。
一方で、副専攻での学びを生かしてエントリーシートを作成できれば、説得力のあるものになります。
【志望動機の例】
観光の副専攻プログラムで、観光振興には自治体の関与が欠かせないことを学びました。実際に〇〇市の取り組みを調査し、私も自治体職員として地域を盛り上げたいと考えるようになりました。
副専攻が増えている理由
副専攻を推進する大学が増えている経緯についても触れておきます。
複合的な学びからイノベーションの期待
大学は学びの基盤となる機関なので、多様な学びを推進しています。昔からある、文学・法学・理学・工学・医学などにとらわれず、新たな学問分野への理解を深めるのに役立つのが副専攻です。
分野横断的な研究は、成長産業に成りうるため、イノベーションへの期待で副専攻分野への補助金を獲得しやすいという背景もあります。
学部を増やすよりも簡単
大学内部的な事情で言えば、副専攻プログラムは簡単に設置できるという利点があります。
- 既存の授業を他学部学生に開放するため、新規開講授業は少ない
- 新規開講授業なし、学生所属もないため、教員の新規採用不要
- 文部科学省への届け出等も不要
ほとんどお金をかけずに、学生にとっては目新しい取り組みになるので、大学にとっては取り組みやすいです。
学部を新たに設置する場合、予算・人事・入試・文科省への申請などで莫大な労力がかかります。それに比べると副専攻は、簡単に新たな大学のプロジェクトを増やすことができるのです。

まとめ:興味がある分野を学ぶのなら副専攻を履修してみよう
副専攻について紹介してきました。
- 副専攻のメリット:2つの専攻を持つことで視野を広げられる
- 副専攻のデメリット:学習時間の分散と、就職時の評価につながりづらい
興味のある副専攻があれば、積極的に履修することをおすすめします。
筆者も大学時代、観光に興味があり、他学部の観光論の授業を「モグリ」で受けていましたが、当時副専攻制度があれば、プログラム修了を目指していたと思います。
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