GPAの平均は2.4~2.8でGPA3.0以上は3割程度!計算方法も紹介

GPA(Grade Point Average)は、大学の成績を数値化したものです。
「秀:4」「優:3」「良:2」「可:1」「不可:0」として、大学で履修した科目の成績を平均化した数値です。
- GPAの平均は2.4~2.8。GPA3.0以上で優秀な学生とされている
- GPAの平均は、国立と私立で大差はない
- GPAの平均は、理系の方が文系より低い傾向がある
- GPA制度の本来の目的は学修指導に役立てること
GPAについて、現役大学職員の筆者がわかりやすく解説していきます。

GPAとは、成績の平均値

GPAは学生の成績の平均値を表す指標です。上の千葉大学のホームページにある表がわかりやすいです。
GPA(Grade Point Average)は、GP(Grade Point)=成績の、A(Average)=平均値を表します。以下のようにGPAが決まります。
- 成績が、秀(4点)と優(3点)が半分ずつ・・・GPA「3.5」
- 成績が、全て良(2点)・・・GPA「2」
GPAの平均値は2.4~2.8、GPA3以上は3割程度
大学生全体のGPAの平均値は「2.4~2.8」と言われています。
大学の成績は相対評価のため、授業別に見ると平均値が低く「2.0」程度の授業や、平均値が高い「3.0」程度の授業があります。
大学・学部により大きく異なりますが、全体を平均すると2点台後半だと覚えておきましょう。
GPA「3.0」以上は全体の学生の3割程度です。一般的にGPA「3.0」以上は「優秀」とみなされますので、1つの目標にするといいでしょう。
GPA値が最優秀となる学生は、「3.5」程度になることが多いです。
【GPAが3.5になるケース】
「秀」が6単位、「優」が3単位、「良」が1単位→GPA3.5
「不可」や「可」がないのはもちろん、「良」もほとんどなく「秀」が多い学生が、GPA3.5となります。
後述しますが、理系の方がGPAは低くなる傾向にあるため、理系の学生であれば、2.8程度のGPAでも成績上位と判断していいでしょう。
GPAの計算方法
4.0×秀(S)の修得単位数 + 3.0×優(A)の修得単位数 + 2.0×良(B)の修得単位数 + 1.0×可(C)の修得単位数
÷
総履修登録単位数(「不可(F)」の単位数を含む)
※卒業要件とならない科目、合格または不合格のみで評価することが認められている科目、他大学で修得した単位互換科目および認定科目は、GPAの算出から除外。
計算方法は一度、覚えてしまえば難しくありません。具体例を用いて説明します。
授業科目 | 評定 | 成績(GP) | 単位数 | 算定値 |
---|---|---|---|---|
英語Ⅰ | 秀(95点) | 4 | 1 | 4 |
ドイツ語Ⅰ | 優(85点) | 3 | 1 | 3 |
経済学A | 良(75点) | 2 | 4 | 8 |
行政法A | 可(65点) | 1 | 2 | 2 |
統計学A | 不可(40点) | 0 | 2 | 0 |
生物学入門 | 可(65点) | 対象外 | 対象外 | 対象外 |
合計 | 10 | 17 |
- 算定値:(秀:4点×1単位)+(優:3点×1単位)+(良:2点×4単位)+(可:1点×2単位)=17点
- 履修単位:(英語Ⅰ:1単位+ドイツ語Ⅰ:1単位+経済学A:4単位+行政法A:2単位+統計学A:2単位)=10単位
- 修得単位:(英語Ⅰ:1単位+ドイツ語Ⅰ:1単位+経済学A:4単位+行政法A:2単位)=8単位
→17点÷10単位=GPA 1.7ポイント(※修得単位ではなく履修単位で割ります!)
- 不可の単位も含めて「履修単位」とするため、「不可」があると数値が低くなる
- 卒業要件とならない科目(上の表では「生物学入門」)は対象から除外
- 単位数が大きい授業の成績がいいとGPAが高くなる
GPAの国立私立、文系理系の違い

GPAの平均値は大学ごとに異なりますが、特徴は以下の通りです。
国立と私立では平均値は大きく変わらない
国立のほうが成績が厳しく、GPAが低くなるイメージはありませんか。
実際には国立も私立もGPAの平均値に特別な差はありません。
大学教授は国立・私立問わず、偏りのないように成績をつけているため、平均するとほぼ同じ水準になります。
また、偏差値が高い大学でも低い大学でも、GPAの平均値に大きな差はないといってもいいでしょう。
文系より理系の方がGPAは低くなりやすい
一方で文系と理系では、理系の方がGPAが低くなりやすいです。
- 理系の方が明確な答えがある試験が多く、成績を配慮されづらい
- 理系の方が単位不可になる学生が多く、GPAを下げている
大学職員の筆者の体感では、理系の方が0.1~0.2ほど平均値が低いように感じています。
大学・学部によっての違いが大きいので、あくまで参考程度ですが。
一般的に理系の学生の方が留年率も高いです。

GPAが利用できるケース

GPAが使われるケースを紹介します。
GPAが高いと有利になるケース
- 授業料免除・奨学金受給
- 研究室・ゼミ配属・大学院進学
- 早期卒業
- 就職活動(まれに)
GPAが高いと学内で活動するのに様々な有利な点があります。授業料免除や研究室配属を優先的に行っている大学が多いので、学内制度を確認しましょう。
一方で、就職活動ではGPAを確認している企業はほとんどありません。
就職活動ではGPAがあまり役に立たない
【就職活動でGPAがあまり役に立たない理由】
- 人事担当者がGPA制度を理解していないことがある
- GPAの平均は大学・学部で大きく異なる
- 大学名・学部名で判断されることが多い
「ガクチカ=(学生時代に力を入れたこと)」で勉強の話をするなら、GPAではなく「100人中3位」などのほうがわかりやすいでしょう。
以下のような形でアピールするのがオススメです。
- GPAを上げるために、授業の予習復習を毎回1時間以上行った
- 成績が悪かった科目について、徹底的に復習し、翌年に高得点をとった
- 真面目に授業を受けていたことで、学生代表のスピーチの推薦を受けた
このように、自分が行ったことに焦点を当てて論理的な説明できれば、優秀な学生で、会社でも活躍できる人材だとアピールできるでしょう。

GPAは学修指導に使用するのが本来の目的

文部科学省でGPAの調査を2017年に行っており、GPA制度導入の状況などがわかりますので、興味のある方は御覧ください(48ページあります)
文部科学省『国内大学のGPAの算定及び活用に係る 実態の把握に関する調査研究』
GPA制度は各大学によって、運用が任されており、明確な使い方を文部科学省が示していないことがわかります。公表や学修指導への反映という点では、大学に使い方が任されています。
基本的な考え方としては、以下の利用が想定されています。
- 学習状況を明確化し、学修指導に役立てるために使用
- 学生個人の順位を開示せず、個人の特定はされないようにする
- 「成績上位何%」という形で、公表することはある
学生のGPA状況から授業の難易度を調整する、GPAが著しく低い学生には教員が配慮を行う等、学修指導に用いるものです。
一方で、学生同士でGPAの順位を争うものではありません。
したがって、大学としては学生個人にGPA順位の公表は行っていないということになります(学生の意欲を高めるために、順位や平均値・最大値・最低値を公表している大学・学部もあり)。
就職活動で自分のGPA値をアピールしたい学生もいると思いますが、「他人の成績」や「自分の順位」は知ることができないということになります。
まとめ:GPAは成績を図る1つの指標
GPAについて解説してきました。
- 不可の単位も含めて「総履修単位数」とするため、「不可」があると数値が低くなる
- 卒業要件とならない科目(上の表では「生物学入門」)は対象から除外
- 単位数が大きい授業の成績がいいとGPAが高くなる
直接、就活でアピールするのは難しいですが、授業料免除・研究室選びなどで有利に働くことが多いため、GPAが高くて損することはありません。
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