大学の学費は親が払うのが当たり前?自分で払う割合は約2割

大学の学費を自分で払っている学生が2割程度いることをご存知でしょうか。
家庭の事情などもあるため、親が学費を負担するのは当然ではないといえます。
一方で、「学費を払えない親はクズ・虐待」という意見をSNSなどで見ることもあります。
- 学費を払えない親はクズではない、払ってもらっている人は恵まれている
- 親が学費を払えなくても、大学に行く選択肢はある
- 自責思考でいることが将来のためになる
大学職員として働き、経済的な理由で退学した学生を多く見てきた筆者が、大学の学費問題について解説します。

大学生と親の学費支払の割合
冒頭で学費を自分で支払う学生が2割程度いるといいましたが、正確なデータがあるわけではありません。
様々なデータから推測すると、2割ほどの学生は自分で学費を支払っていると考えられます。
学生生活調査は日本学生支援機構が行っている大学生への全国調査です。
令和2年度学生生活調査で、大学(昼間部)の学生の49.6%が奨学金を受給していることがわかりました。
※日本学生支援機構はJASSO(ジャッソ)とも呼ばれ、学生に対する奨学金や留学の支援を行っている独立行政法人です。
奨学金を受給しているのは学生の半数程度ですが、奨学金には月5万円程度の生活支援目的のものも含まれるため、奨学金受給者の半数以下(全体の20%程度)が学費を払っていると考えています。
残りの8割の学生は親が学費を負担していると考えていいでしょう。
具体的な負担額の目安などは以下の記事で紹介しています。

大学の学費を払えない親はおかしい?
8割の大学生が親に学費を払ってもらっていると言えますが、学費を支払えない親がおかしいというわけではありません。
そんななか、「学費を払えない親がクズ」だと言われることがあるのはなぜなのでしょうか?子供の視点で考えてみます。
- 大学までの学費までは親が払うべきという考え
- 学費を学生が支払うのは困難
- 学費を親が払っている友人が多い
- 学費を払わないのに、口出しをしてくる
大学までの学費は親が払うべきという考え
義務教育は中学校までですが、大学進学率が50%を超える日本では、大学までの進学が当然という風潮があります。
高校の学費を親が払うのと同様、「大学の学費も親が払って当然」と考えている人が増えているのでしょう。
学費を学生が支払うのは困難
自分で学費をすべて支払うのは困難です。
国立大学で70万円、私立大学で120-170万円が1年間でかかる学費の平均額です。
私立大学であれば、月間10万円以上ですから、アルバイトで稼ぐのには週4日以上の勤務が必要となるでしょう。さらに、生活費を稼ぎながら勉強もしなければなりません。
学費を親が払っている友人が多い
実際に大学に進学すると、8割以上の学生は親が学費を負担しています。
友人がアルバイト代を飲食費や娯楽費に回している中、節制しなければならないのに不満を持つ学生は多いでしょう。
奨学金によって、アルバイト代を娯楽費に回すこともできますが、学費をすべて奨学金で借りたのであれば、500万円程度の借金を背負って社会に出ることになります。
学費を払わないのに、口出しをしてくる
大学生とはいえ、親からすると「まだ子供」と考えているケースも多いです。
学費を支払ってくれないのに「勉強しなさい」「遊んでばっかりで、少しは家事もしなさい」などと口出しされると腹が立ってしまいます。
学生からすると「学費も払ってくれないくせに・・・」と考えてしまうことがあるのでしょう。

学費を払えない時どうする?
学費を親が払ってくれないから進学できないと考えるのではなく、実際にできる対策を考えましょう。
- 奨学金を利用する
- まず働いて貯金する
いずれかが現実的な手段となります。
学費を払えない場合の相談先など、実際の対処法は以下の記事で紹介しています。

奨学金を利用する
奨学金は日本学生支援機構(JASSO)という独立行政法人が取り扱っているものから、大学で募集するもの、民間企業が行っているものなど多くあります。
多くは、返済が必要で利子が必要なものですが、無利子や返済不要のものもあります。
返済不要のものは家庭の収入状況や成績などの条件が厳しいですが、調べてみるといいでしょう。
関連記事:国立大学の授業料はいつまでに払う?授業料免除のルールを併せて解説
まず働いて貯金する
高校を卒業したらすぐに大学に進学する人が多いですが、働きながら大学進学を考えるという手もあります。
泊まり込みのアルバイトをしながら、進学を検討するのもいいでしょう。
就きたい職業によっては学歴よりも、職歴を重視していて、若い頃に始めたほうが有利というケースも多々あります。
社会人を経験してみて、大学に通う必要を感じたならば、お金をためつつ勉強すればなにも問題ありません。
大学生や同じ年代の人にはリゾートバイトをおすすめしています。
関連記事:大学生におすすめのリゾートバイト・ダイブの評判・口コミ
親も子も自責思考で考える
親も子も自責思考て考えるようにしましょう。自責(じせき)とは、他責(たせき)の対義語で、物事の責任は自分にあると考えることです。
学費が払えないとなると自分以外に責任を押し付けがちです。
- 子の他責・・・親の稼ぎが少ないから、学費を払ってもらえない
- 親の他責・・・義務教育でないから、大学の学費は払えない。社会制度が悪い
他責で考えるのは簡単ですが、恨みや嫉妬ばかりが残り、何も生みません。与えられた環境でなにができるか考えるようにしましょう
日本に生まれて、安心な住居・中学までの公教育が与えられているだけでも十分幸運です。
他人と比べて、悲観的になってしまうのは損ですよ。

参考:筆者の学費に対する考え
筆者も子育て中で、いずれ大学の学費問題にぶち当たると考えています。
現在の考えでは「大学の学費は出してあげたいけど、それ以上は本人次第」です。
学費の平均額は年間120万円ほどですが、高くなる要素がいくつもあります。
- 医学部に行きたい
- 大学院にも通いたい
- 留学したい
- 実家から離れて、一人暮らししたい
なんでも願いを聞いていたら、年額で100万円くらい高くなる可能性はあります。
子どもに言われらた「わがまま言わない、だめ」言います(ゲーム買ってと言われたときと同じスタンスです)。そこから子どもの反応をみます。
- 本気で医学部を目指して深夜も勉強しだした
- 半年でTOEICの点数を100点あげた
- 一人暮らしに向けて無駄遣いをしなくなった
このように、「だめ」と言われた後に、自分で考えて行動しだしたら、応援せざるを得ません。
その際は、お父さんも頑張って100万でも200万でも捻出します。
学費を出してくれないことを不満に思っている高校生や大学生の方も、「大学に行きたい理由があって、本気で行動してる」ことを見せるのが大事だと思います。
そうすれば、援助・応援してくれるようになるかもしれません。
まとめ:学費を払えなくても選択肢はある
大学の学費を親が払うか、子が払うか問題について、筆者の考えをまとめてきました。
- 親に関して・・・学費を払えないから悲観的になる必要はない。自分の考えを子に伝えて、できる援助・応援をしましょう。
- 子に関して・・・学費を払えない親を責めるべきではない。自分にどんな選択肢があるか考えるべき。
学費を払えなくても他に選択肢はあります。大学に行かないで、幸せな人生を送っている人もいます。
自責思考は人生で大事になりますので、与えられた環境でなにができるかを考えるといいでしょう。
具体的な「国立私立・文系理系・実家下宿」でかかる費用の違いは以下の記事で紹介しています。
関連記事:親が払う大学の学費の目安を解説!実家と下宿の違いも紹介

