大学院生が学部の授業を受ける場合には、科目等履修生になる必要がある
大学に入学すれば、大学の全ての授業が受講できると思っていませんか?
基本的な大学のルールでは、勝手に大学内の別の学部の授業や、大学院生が学部の授業を受けることはできません。
ただし、ルールに則れば他学部の授業を履修することができます。科目等履修生になるという方法です。
- 他学部や他大学院の授業を受けるには「科目等履修生」になる必要がある
- 学内の科目等履修生になるには、出願書類の作成のみでお金はかからない
- 大学内の全ての授業を受けられるわけではない
他学部の授業を受けるための「科目等履修生」のルールについて紹介していきます。
科目等履修生とは?
科目等履修生は、大学の学部・大学院外の人で、授業科目を履修する学生をいいます。
科目等履修生は、本学(学部・大学院)が開設する一又は複数の授業科目を履修することを志願する者があるとき、授業に支障のない限り、選考のうえ入学を許可するものです。
学部・大学院の授業を受けるには、正規生または非正規生として、大学に入学する必要があります。
大学のキャンパスに忍び込んで、名物教授の授業を受けるという話を聞いたことがありますが、大学のルールに則ると「科目等履修生」として入学した上でなければ、認められません。
科目等履修生になるには?
科目等履修生は、原則、半期に一度大学が募集要項を出しています。
希望する大学に出願書類を送り、検定料等を支払い、書類に問題がなければ科目等履修生になれます。
- 学部・・・高校を卒業している(または同等の学力を有する)ことが原則
- 大学院・・学部を卒業している(または同等の学力を有する)ことが原則
※詳細は学部・大学院ごとに異なるため、大学に確認してください。
【参考:誰でも科目等履修生になれるわけではない】
ちなみに、東京大学の学部では科目等履修生を受け付けておらず、他の大学でも卒業生等でなければ、科目等履修生を受け入れていない大学もあります。
科目等履修生となれば、「非正規生」といえども、大学の学生証が交付され、学内施設を利用できます。入学料等を払って、科目等履修生になりたいと考える人も少なくないため、卒業生以外の入学を禁止しています。
科目等履修生の検定料・入学料・授業料
科目等履修生になるには検定料・入学料・授業料がかかります。
検定料 | 9,800円 |
入学料 | 28,200円 |
授業料 | 14,800円(1単位あたり) |
千葉大学の情報を参考に掲載しますが、どこの大学も同じような金額になります。
検定料は、受験料のようなものです。書類のみの検定のことが多く、承認されれば、入学料・授業料を支払うことになります。
授業料は1単位ごとになっており、半年間2単位の授業であれば、14,800円×2=29,600円の授業料が必要になります。
入学料と検定料を合わせると約7万円で科目等履修生(2単位分)になることができます。
学内の大学生・大学院生であれば、費用は無料
学内の大学生・大学院生であれば、無料で科目等履修生になれるのが基本です。
- 文学部学生が法学部の授業に興味をもち、受講する
- 大学院生が基礎的な内容復習のため、学部の授業を受講する
- 大学院生が教職課程を修了するために、学部の授業を受講する
上記のような理由で、他学部・他大学院の授業を受ける学生がいます。
科目等履修生になる具体的な方法は大学事務の教務課などに問い合わせましょう。
全ての授業が開講されているわけではない(学外開講科目)
全学部、全大学院の授業を学内の学生が受講できるわけではありません。
学外開講科目などの名称で、開講している授業は限られています。
文系の学生が理系の実験授業を受講するなどということは基本的にできません。
開講科目は大学のホームページやシラバスに記載されていることが多いです。記載されていない場合は、担当教員に直接受講できるか確認するといいでしょう。
一方で、科目等履修生への申請が不要な科目(他学部開講科目)を開講しているケースもあります。他学部の授業を受けるからといって、すべて科目等履修生になる必要があるわけではないので、複雑ですね。
入試と同時に科目等履修生に出願できる?
大学院に出願しながら、合格したら学部の授業を受講したいという方もいるでしょう。
大学院入試と同時に科目等履修生に出願可能
4月から大学院生になるために、入試を受けた場合、合格発表が3月になるということがあります。大学によりますが、学部科目等履修生の出願は2月を締め切りにしていることも多いです。
この状況では、大学院への入学が決まっていない中、科目等履修生へ出願を行わなければいけないことになります。
その際、大学院への出願書類を証拠書類として、科目等履修生への出願が認められることになります。大学院に無事合格した場合、科目等履修生への授業料等の支払いは必要なく、そのまま学部の科目等履修生にもなることができます。
大学院生になることを前提としているわけですから、科目等履修生等への入学料等は不要になります。
万が一、大学院に不合格になった場合は、入学料等を支払って科目等履修生になるか、科目等履修生への出願を取り消すかを判断することになります。
締切後に科目等履修生になれる可能性もある
大学院入試と同時に科目等履修生に出願する方法を紹介しましたが、学内の授業であれば、締切後に科目等履修生になれる可能性も高いです。
入学後に、教授の助言等で大学院生が学部の授業を受講希望するというケースがあります。
学内であれば、入学料等の手続きがないので、学期が始まった後でも科目等履修生になれる可能性があります。大学の事務に確認してみましょう。
大学院生が教職課程を修了するケース
科目等履修生制度を利用するよくあるパターンとして、教職課程の授業の受講があります。
【教職課程修了のために、大学院生が学部の科目等履修生になるケース】
理学部などで、数学・理科の中学高校の教員免許を取得に励む学生が毎年います。
理系の実験に加えて、教職科目、教育実習等を履修することになるため、4年で全ての科目を修了できないことも多いです。
理系で同じ大学の大学院に進学する場合、修士課程の+2年で教職課程の授業を履修することも可能です。教職課程の授業は教育学部などの学部で開講しているため、理系の大学院生でありながら、教育学部の科目等履修生になることができます。
教職課程の科目については、「他学部開講科目」として科目等履修生にならないで、受講できるケースもあります。
まとめ:学部の授業は科目等履修生として受講
科目等履修生になれば、他学部・他大学院の授業も受講可能です。
- 「科目等履修生」は大学の非正規生となって授業を受けられる制度
- 学内の科目等履修生になるには、出願書類の作成のみでお金はかからない
- 大学内の全ての授業を受けられるわけではない
科目等履修生制度の概要を説明してきましたが、詳細は大学によって異なる取り扱いをしています。科目等履修生制度について、教務課の窓口に問い合わせてみるといいでしょう。