大学には最大何年までいられる?在学期間・在籍期間の計算方法
4年制の大学を4年間で卒業する人は約8割しかいません。
つまり、残り2割は留年や休学で卒業までに4年を超えた期間を要しています。
実際に、4年制の大学には留年しても最長8年まで在学することができます。さらに4年間休学し、最長12年まで在籍することも可能です(国立大学と多くの私立大学)。
- 4年制大学に在学できる期間は最長8年間、
在籍できる期間は最長12年間 - 在学期間・・・休学期間を含まない期間:8年まで
- 在籍期間・・・休学期間を含む期間:12年まで
- 留年は4年まで、留年とは別に休学も4年まで可能
「在学期間」と「在籍期間」の違いは「活動していない期間(休学期間)を含むか、否か」です。
大学の規程をもとに在学期間の計算方法も解説します。
※青山学院大学のように、休学は通算3年までと独自のルールがある大学もあります(参考:青山学院大学 卒業延期・休学・復学、退学・再入学)
4年制大学に在学できるのは8年まで
多くの4年制の大学では、大学に在学できる期間は8年までです。どの大学も基本的な考え方は一緒ですが、千葉大学の学則を参照します。
第1節 修業年限,在学年限,学生の身分を有する期間,学年,学期及び休業日
(修業年限)
第12条 学部の修業年限は,4年とする。ただし,医学部及び薬学部薬学科にあっては,6年とする。
(在学年限)
第13条 在学年限は,修業年限の2倍の年数を超えることができない。
- 修業年限・・・基本となる卒業までの期間
(多くの学部:4年、医学部薬学部:6年) - 在学年限・・・修業年限の2倍まで在学できる
(多くの学部:8年、医学部薬学部:12年)
通常卒業できる期間のことを「修業年限(または標準修業年限)」といいます。その2倍までは在学できる期間(在学年限)となります。
4年制大学であれば、4年まで留年可能で、8年間在学できることになります。しかし、その分8年間の授業料の支払いは必要になります。
私立大学は独自の休学可能期間を定めており、青山学院大学は休学可能期間を3年までとしています。
4年制大学に在籍できるのは12年まで
「在学期間」と「在籍期間」は異なります。休学した期間は、在籍期間にのみカウントされます。
休学した場合の取扱いについて、千葉大学の学則を参照します。
(休学期間)
第28条 休学期間は,通算して第12条に規定する修業年限を超えることができない。ただし,前条第3項の規定に基づく休学に係る休学期間は,この限りでない。
2 休学期間は,第13条に規定する在学年限及び第49条に規定する卒業要件の期間に算入しない。
4年制大学では、休学期間は修業年限(4年)を超えることはできませんので、休学できるのは4年が最長となります。
まとめると、4年制大学では留年できるのが4年、休学できるのが4年、最長12年間大学に在籍することができます。
※休学可能期間を2年や3年に定めている大学もあり
なお、「留学」は休学中に行うことも、休学せずに在学中に行うこともできます。
在学期間・在籍期間の計算方法
多くの大学の、在学期間・在籍期間の計算方法は以下のとおりです。大学院も考え方は同じです。
- 標準修業年限を確認(例:経済学部では4年)
- 在学期間は標準修業年限の2倍(例:経済学部は8年)
- 在籍期間は標準修業年限の3倍(例:経済学部は12年)
通常4年間で卒業する場合、4年間留年が可能、4年間休学が可能です。
- 在学期間:
標準(4年)+留年(4年)=8年まで - 在籍期間:
標準(4年)+留年(4年)+休学(4年)=12年まで
大学の在学期間・在籍期間に関する用語
「修業年限」「在学期間」など、ややこしい用語が多くなってしまったので整理します。
修業年限(学生が卒業までに有する期間)
学部・大学院には「修業年限」があります。「標準修業年限(ひょうじゅんしゅうぎょうねんげん)」と呼ぶ場合もあります。学部や大学院ごとの卒業までの基本的な期間を表します。
- 学部(文・法・経済・理・工など)・・・4年間
- 医学部、薬学部・・・6年間
- 大学院(修士課程・博士前期課程)・・・2年間
- 大学院(博士課程・博士後期課程)・・・3年間
「修業年限」から、最長の在籍期間を計算できます。
修業年限の3倍の期間、大学に在籍すると覚えるといいでしょう。
【参考】
大学の学部には3年次編入という制度があります。
5年制の高等専門学校(高専)などを卒業して、大学の学部3年生から入学する制度で、大学の工学部などで3年次編入生の定員を定めているケースです。
この場合は3年生、4年生の2年間を修業年限とすることが通常です。修業年限の3倍が在籍できる期間ですので、6年が最長在籍期間となります。
在学期間・在学年限(在籍期間から休学期間を引いた期間)
単位修得不足等で、進級・卒業がかなわない場合は留年し、同じ学年のまま大学に在籍することができます。在学中は授業料が発生します。
在学期間は、修業年限の2倍を超えることができないと学則等で定められています。
留年する場合にも、修業年限の2倍、最長8年間までしか大学に在学することができません。
休学期間は「在学期間」に含まず、「在籍期間」には含めます。
ちなみに、「停学」期間は在学期間に含み、卒業要件の期間に参入しません。
在籍期間(大学に所属している期間)
大学に所属しているトータルの期間を「在籍期間」といいます。休学している期間も在籍期間に参入されます。
4年制大学の「在籍期間」は12年間が最長となりますが、在籍期間を12年間までとする規程・ルールはありません。学則を読み解いて、計算すると12年間になります。
休学期間(一時的に大学を休む期間)
大学生は留学や心身療養、経済的な理由等で、休学の申請をすることができます。休学中は、授業料の支払いが免除され、その間に学業以外のことに専念することが認められています。
修業年限を超えて、休学することができないと学則で定められています。
つまり、4年制の学部生であれば、4年間までは休学することができます。2年制の修士大学院生であれば、2年間までは休学可能です。
休学可能期間を修業年限未満に定めている大学もありますので、念のため大学の学則を確認するといいでしょう。
まとめ:修業年限の3倍まで在籍できる
4年制大学であれば、最長12年間、大学に在籍することができます。
標準年限4年+留年可能年限4年+休学年限4年=最長在籍期間12年間となります。
- 修業年限・・・通常、大学を卒業するのに必要な年数(多くの学部は4年)
- 在学期間・・・「修業年限×2」まで(授業料を払って勉強する期間)
- 在籍期間・・・「修業年限×3」まで(在学期間+休学期間)
- 休学期間・・・・大学を一時的に休む期間(授業料の支払い不要が原則)
在学期間・休学期間の仕組みを使えば、長期間大学に在籍することが可能になります(私立大学は別の取り扱いをしているケースもありますので、大学の学則を確認しましょう)。
休学で時間ができたら様々な経験ができます。留学や旅行、リゾートバイトの経験、たくさんの映画や音楽、書籍に触れるのもいいでしょう。
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