二重学籍(在籍)はバレる?可能な大学と2つの大学に通うのが禁止の理由
1つの大学(大学院)に在籍しながら、別の大学にも籍を持つことを「二重学籍・二重在籍」といいます。
2つの大学に通うと表現してもいいでしょう。
通信制以外では正規生の二重学籍を認めている日本の大学はありません。文部科学省のQ&Aでも、二重学籍は望ましくないと述べられています。
しかし、2つの大学に正規生・非正規生として籍を持ち、2つの大学に通うことはできます。
- 二重学籍とは、2つの大学に同時に学籍をもつこと
- 文部科学省は二重学籍を禁止している
- 正規生・非正規生として2つの学籍をもつことは可能
- 二重学籍はバレる確率は低いが、メリットがほとんどない
本記事では、2つの大学に籍を置く方法を解説していきます。二重学籍を認めている大学や認められるケースについても紹介します。
二重学籍とは2つの大学に同時に籍を置くこと
「二重学籍・二重在籍」とは、2つの大学に同時期に籍を置くことをいいます。
例えば、早稲田大学と慶應義塾大学に両方合格し、どちらの学生にもなるようなことをいいます。
日本の大学では二重学籍は禁止されており、2つの大学に通うことはできません。
ちなみに、二重学籍とダブルスクールは異なります。
【「ダブルスクール」は可能】
一般的にダブルスクールは「大学」と「資格学校・専門学校」に通うことをいいます。
経済学部に通いながら、資格学校で税理士資格の勉強をするようなケースですね。
一例として、大東文化大学では資格の大原と提携してダブルスクールを推進しています。
二重学籍が禁止されている理由(文部科学省の見解)
二重学籍について、正式に禁止となっている法令等はありません。
しかし、文部科学省のQ&Aの一部で、二重学籍(ここでは二重在籍と記載されています)が望ましくないと記載されています。
13.学生が複数の大学に同時に在籍することが不適切であるとされることとの関係はどのようになりますか?
二重在籍が望ましくないとしているのは、学校教育法の修業年限の規定の趣旨に照らし、学生が二以上の大学の教育課程を同時に履修することは学生の十分な学習時間が確保できなくなると考えられるためです。
一方、共同実施制度は複数大学が共同して一つの教育課程を提供するものであり、学生は当該共同教育課程を履修し連名学位を授与されるためには、複数大学に制度上は重複して在籍している必要があると解され、これは前記の二重在籍とは趣旨・態様を異にするものであり、これまでの見解と矛盾しないものと考えられます。(したがって、一般的に「二重在籍」が望ましくないという点に変更はありません。)
※25ある質問のうち、13問目なので、だいぶ下の方です。
参考になるのは、前半の部分です。
二重学籍を禁止する根拠は、2以上の学校に同時に在籍すると、学習時間が確保できないという点にあります。
学校教育法の考えに照らし合わせると、「二重学籍」は望ましくないという見解です。
確かに、一度に2つの大学に在籍すると学習時間が足りなくなりそうですよね。
二重学籍が認められるケース、可能な大学
「二重学籍は禁止」が基本的な考え方ですが、組み合わせによっては認められています。
以下のとおりです。
- 「通学制正規生・通学制正規生」・・・・禁止
- 「通学制正規生・通学制非正規生」・・・可能なケースが多い
- 「通学制正規生・通信制正規生」・・・・可能な大学あり
正規生・非正規生の組み合わせ
原則、禁止されている二重学籍ですが、正規生と非正規生の組み合わせであれば、認められることが多いです。
研究生・科目等履修生などとして、必要な期間だけ、研究や単位修得のために大学に籍を置くものになります。
通常は1年、長くとも2年ほどの在学期間になります。社会人として働きながら、土日のみ大学で研究する、週に1時間だけ授業を受けるなど、比較的時間に融通が効きます。
正規生と非正規生の組み合わせであれば、二重学籍で問題とされる学習時間の確保が可能になり、認められるケースが多くなります。
また、正規生として所属する大学を休学して、休学期間中に別の大学の非正規生となるということも考えられます。
正規生と非正規生の違いは以下の記事で詳しく解説しています。
通信制大学の一部(放送大学等)
通信制の大学では、「正規生・正規生」の二重学籍が可能な大学があります。
通学制の大学の二重学籍は学習時間確保の観点から、禁止となっていますが、通信制であれば一部の大学で認めています。
放送大学は、代表的な通信制大学で、正規生の二重学籍が可能です(電話で確認しましたが、「放送大学は二重学籍を禁止していない」とのこと)。
在籍大学で了解が得られれば、放送大学の全科履修生(正規生)として学習することは問題ありません。
また、慶應義塾大学通信教育課程正科生(正規生)でも二重学籍を認めています。
条件として、「慶應義塾内での二重学籍は禁止」「在籍中の大学・大学院の了解が得られた場合」と記載されています。
【参考】2023 年度/ 77 期生 慶應義塾大学通信教育課程 学生募集要項
一方で、法政大学通信教育部のように通信制でも二重学籍を禁止している大学もあるため、通信制であれば必ず二重学籍が認められるわけではありません。
注意:二重学籍の禁止(法政大学通信教育部学則第22条)
本科生に入学を希望される場合、学校教育法に定める短期大学・専修学校の専門課程・専門学校・大学・大学院にすでに在籍中の方は、本学に同時に在籍することはできません。出願時に卒業または退学予定の方は、本学入学日付(4月1日もしくは10月1日)より前の日付で、現在在籍中の学校を卒業または退学する許可を得ていることが出願の条件になります。
2つの大学に通う場合の手続き
一方の大学で正規生・もう一方の大学で非正規生という、2つの学籍を得る一般的な手続きを紹介します。
よくあるのは海外の大学で正規生となっていて、研究していたところ、日本に最先端の研究をしている教授を見つけて、留学に来るというパターンです。
【海外の大学で正規生・日本の大学で非正規生のパターン】
海外の大学で正規生となっている場合は、日本の大学の正規生となれない(二重学籍になる)ため、日本の大学で非正規生(研究生・特別研究学生など)となる出願を行います。
日本の大学で入学が許可されれば、海外の大学を休学し、来日して研究を行います。現在では、リモート授業等で海外にいながら日本で研究指導を受ける場合もあります。
海外大学の正規生、日本の大学の非正規生というパターンで研究している留学生は多くいます。大きな大学では、年間100人を越えて受け入れています。
二重学籍として在籍するまでの流れは以下のとおりです(正規生として所属している大学を「在籍大学」、非正規生として出願する大学を「出願大学」とします)。
- 在籍大学で、二重学籍が可能か確認
- 出願大学に合格する
- 出願大学に入学手続
在籍大学で二重学籍禁止となっている場合もありますが、学習時間の確保について問題ない場合、認められるケースも多いでしょう。
ここまでは、外国人留学生の説明をしてきましたが、日本国内での「正規生・非正規生」のパターンも、通信制大学を用いた「正規生・正規生」のパターンもほぼ同様の手続きです。
二重学籍は大学にバレる?
二重学籍が禁止されているのであれば、「嘘をついて、隠れてやればいいのでは?」と考える人もいますよね。
結論としては、二重学籍がバレる可能性はほぼありません。
大学は、学生が他の大学に所属しているのを調べる方法がないからです。自分から友人に話したり、情報の誤登録などがなければ、バレることはないでしょう。
しかし、バレないからといって隠れての二重学籍はオススメできません。
隠れての二重学籍は違反であるため、履歴書に書くことができず、メリットが少ないです。以下のように対処するのがオススメです。
【正規生・正規生の二重学籍を希望する場合】
一方の大学を休学・退学しましょう。
片方の大学を退学すれば、二重学籍にはなりません。
どうしても2つの大学に在籍・卒業したいという場合、片方の大学を休学している間に一方の大学を卒業するという手もあります。
【正規生・非正規生の二重学籍を希望する場合】
正当な理由があれば、2つの大学に通うことが認められるケースも多いです。
「現在の研究テーマを深めるために、他大学の授業を科目等履修生となって受講する」などという理由が考えられます。
立命館大学でも、「教育上必要であると認めた場合は、二重学籍を認める」としています。在籍大学がどうしても認めない場合、直接出願大学の教授などに授業を受ける方法がないか相談するという方法もあります。
まとめ:正規生の二重学籍は認められていない
二重学籍が禁止されている理由と認められている大学などについて解説してきました。
- 二重学籍には「正規生・正規生」と「正規生・非正規生」がある。
- 「正規生・正規生」は、通信制大学を除いて禁止
- 「正規生・非正規生」は、正当な理由があれば認められる可能性大
- 二重学籍がバレる可能性は少ないが隠れて行うメリットはほとんどない。
二重学籍(正規生と正規生)は学習時間の確保という観点から、好ましくないとされています。
一方で、「正規生・非正規生」で2つの大学に通うというケースは広く認められています。
2つの大学に通うことを考える際に、どちらかには非正規生として所属するというのが現実的です。
学籍は片方の大学に置きながら、ダブルディグリー・ジョイントディグリーという制度で2つの大学で学位を取得できる方法もあります。休学などを含めて、選択肢をゆっくり検討すると良いでしょう。