二重国籍者の大学受験時の国籍の取扱い!海外留学についても解説
国際結婚などの増加で、二重国籍を持つ人は日本に約90万人いると言われています。
日本とアメリカの国籍を持っているというパターンで、二重国籍で大学に入学してくる学生もいます。
- 二重国籍者は受験時に大学に登録する国籍を決めるのが基本
- 二重国籍者が大学に所属する際の注意点を解説
- 大学院終了時の学位記には、1つの国籍が記載されるのが原則
本記事では、二重国籍者の学籍を大学がどのように管理しているかを、解説します。
二重国籍者は大学入学時に国籍を決める
日本の大学に入学する場合、個人情報を登録します。その際に「在留カード」「住民票」の提出を求められるケースもあります。
国籍が2つある場合、どちらでも国籍を確認できます。
- 住民票を証明書類とし、日本籍として登録
- 在留カードを証明書類とし、外国籍として登録
では、学生にとって、日本籍・外国籍どちらで入学するほうがよいのでしょうか?
正規生では、日本籍として登録することが多いですが、海外の大学に所属している非正規生の場合、複雑な条件が絡み合うので例を使って説明します。
- 日本籍で「大田さん」
- 台湾籍で「王さん」
台湾のA大学に「王」として在籍しながら、協定に基づき、特別聴講学生として日本の大学に入学する場合です。
次の章で詳しく紹介していきます。
日本国籍で入学する場合
非正規生では日本籍を使いづらい理由があります。
日本国籍で入学するメリット
日本のパスポートを用いるので入国時の空港での手続きは簡単なものになります。
日本国籍(大田)で入国する場合、在留カード発行の手続きが不要です。
日本国籍で入学するデメリット
日本国籍で入学する場合、学生証や登録名は「大田」になります。
日本の大学で研究を行った証明書も日本国籍(大田)になります。一方、台湾の大学では「王」として活動しているのに、日本の大学での研究成果は大田として発行されることになり、齟齬が生じます。
単位互換などを行う場合に、「王」と「大田」2つの書類があり、適切に手続きされない可能性があります。証明書の氏名の違いに問題がなければ、日本国籍での入学のほうが手続きは簡単です。
外国籍で入学する場合
台湾の大学での在籍名に準じて、王で日本の大学にも入学するというケースです。
外国籍で入学するメリット
台湾の大学と同じ名前での受け入れになるので、発行される証明書の名前が統一されます。大田と王が同一人物であるという証明が不要になりますので、正確な運用となります。
また、台湾での氏名と同名で日本で活動できるので、本人のアイデンティティの問題としても、外国籍での入国としたほうがよいでしょう。
外国籍で入学するデメリット
外国人の入国を制限している場合には、入国ができなくなるデメリットがあります。
台湾人・王として入国する場合には、在留資格の申請をして、在留カードを取得して入国する必要があります。
コロナ禍では、至急の理由がなければ、在留資格の申請は難しく、入国までに時間がかかり、さらに時間をかけても入国できないということもあります。
※2022年秋以降、大幅に入国者数が緩和されましたので、デメリットは在留カード取得手続きの手間だけですね。
大学側の二重国籍受け入れ時の注意点
入学者が大学に、どちらかの国籍を申請するということになります。
大学が重要視していることは本人のアイデンティティで、本人が日本での活動に支障のない名前で受け入れています。
日本国籍(大田)で受け入れたとしても、「旧姓利用届」等を大学に申請して、学生証や証明書を外国籍(王)で発行するということもできます。
ちなみに、パスポートは両方の国のものを大学で確認することを原則としています。
二重国籍者は海外留学を配慮される?
入学時の在留カードの要否に加えて、海外留学と国籍が影響するケースもあります。近年ではグローバルな教育をウリにして留学を必須にしている学部もあるほど。
「全員留学」を必須にしている学部でも外国籍者(留学生)は配慮されます(海外留学に来ているのに、さらに海外留学に行く必要はないですよね)。
この場合、日本国籍で入学するか外国籍で入学するかで配慮が変わる可能性があります。
- 日本国籍・・・海外留学必須
- 外国籍・・・・海外留学免除
上記が基本となるはずです。入学時の国籍選択が影響するため、大学に確認しておくといいでしょう。
まとめ:非正規生は在籍大学と同じ登録名で
二重国籍者が大学に入学するときのルールについてまとめました。
大学には1つの国籍を届け出て、その名前で学籍(大学での身分)を取得することになります。大学院修了時の学位記には国籍が記載されるため、1つの国籍を登録することを原則としています。
日本と他の国の国籍を有する二重国籍者の場合、正規生では日本国籍として入学する場合が多いですが、非正規生で現在籍大学との関連や本人のアイデンティティを考慮し、本人が決めることになります。
二重国籍で悩んでいる方もは大学の教務課に相談すれば、配慮してもらえるでしょう。