退学届・休学届の取り消しはできる?大学での申請手続き
大学を休学・退学する場合には大学の事務への届出が必要です。
書類を提出してから、休学・退学を取りやめたいという人もいるでしょう。
- 休学・退学の申請期限・取消期限は同じ
- 退学する日の前日までなら取消可能なことが多い
- 退学の申請・取消期限は国立・私立で異なる
(国立大学は、退学する日の前日までは取消が可能)
(私立大学は、大学の定める申請期限までは申請・取消が可能)
「退学」「休学」は学費の支払いにも関わるので、知らないと大変なことになるかもしれません。大学制度の知識として本記事を参考にしていただければと思います。
※本記事では「退学取消」について記載していきますが、「休学取消」に関しても同じ考え方で大丈夫です。
退学届の申請・取消はいつまで?
退学届の取消期限は、原則として申請期限と同じ日になります。
提出された退学届はまとめて近日の教授会等で審議されるため、提出した退学届も締切期限までは正式な処理が行われることはありません。
また、退学届の申請・取消期限は私立大学・国立大学で大きく異なります。
- 私立大学:大学が決める期日
(日を遡っての手続きも可能) - 国立大学:開始日の前日まで
(日を遡っての手続きは原則不可能)
※大学では学籍が「在学」「休学」「退学」などに変わる日を「異動日」と読んでいます。
退学届の申請期限の私立・国立の違い
退学届の締切は以下のホームページが参考になり、国立と私立で違う傾向が見られます。
「休学」「退学」の取消・申請は、開始日の前日までなら可能というのが原則(国立大学も)ですが、私立大学では申請の締切がそのまま取消期限だと考えるといいでしょう。
東京大学では退学日の前日より前に手続締切日を設定していますが、大学の営業日(平日)であれば締切をすぎても申請できると考えています(事務手続きに余裕をもったスケジュールを設定しているだけだと思います)。
国立・私立で上記のような傾向がありますが、事務の営業日などで期限を早めに定めていることもあるので、在籍大学に確認するようにしましょう。
開始日の前日までは申請・取消可能
原則として、退学の開始日の前までに届ければ、「申請」「取消」の手続きができます。いつから提出開始という決まりはないことが多く、半年ほど前から提出することも可能です。
例えば、3/31付で退学したい場合には3/30までに退学届の提出が必要になります。
- 退学、卒業の場合・・・月末が異動日になります。 3/31退学、9/30卒業など
(退学・卒業の翌日から、学籍がなくなります。) - 休学、復学の場合・・・月初が異動日になります。4/1休学、10/1復学など(休学の当日から、学籍が「在学」から「休学」に変わります)
例えば、海外留学するために、2月末時点で4月からの休学を申請していたが、感染症の影響で留学できないことがわかり、3月中に取り消すことは可能です。
大学の所定の手続きを踏むこととなりますが、緊急時の取消については、ひとまず口頭・メールでの受付も可能としている大学が多いです。
補足すると、3月末に休学届・退学届を提出しても数日中に教授会などの会議が行われるわけではありません。教務事務システム上の在籍だけ、先に登録して会議終了後に許可証を発行する手続きをとっています。
このように処理しているため、書類の提出は開始日の前日まで受け付けることができます。
開始日当日以降は原則申請・取消不可
4/1になってから、「3/31退学の申請」を取消すことはできません。
4/1になってから、退学取消の手続きを行うことは、過去に遡って(さかのぼって)情報を変更することになります。遡って手続きすることを「遡及(そきゅう)手続」といいます。
開始日以降に申請・取消ができない理由
過去に遡って区分を変えてしまうと大学側・学生側に不利益になることがあるため、原則禁止となっています。
例えば、4/10になってから、3/31に行った退学手続きの取消を認めてしまうと以下の問題点が考えられます。
- 【大学側の問題】
・授業料を新たに徴収しなければならない(退学したら授業料支払い不要) - 【学生側の問題】
・4月上旬は退学者として過ごしているため、その時に受けられるはずだったサービスが受けられない
双方が納得すれば、たいした問題ではありませんが、数千人・数万人の学生が在籍する大学では個別に対応することができません。市や国の制度と同様、各種手続きに締切を設けています。
やむを得ない理由があれば、受け入れられる可能性もあるので、大学の教務課に一度相談してみる価値はあります。
【例外】遡りで退学届が取消されたケース
例外的に、国立大学で「退学届」が過去に遡って取消されたケースがありましたので、参考に紹介いたします。
3/31付の退学の申請が学生から3月中に出され、大学として受理していました。その後、4月になって退学届の書類の偽造が発覚して、取消が認められたというケースです。
【退学届の偽造が発覚し、取消が認められたケース】
退学届には保証人署名欄があり、授業料を支払っている保護者の確認の署名が必要となっています。
3月に提出された「退学届」では、学生が自分で保証人欄を記載していた(私文書偽造)。4月になって学生と保護者の間で言い争いになり、偽造が発覚したというケースです。
「過去にさかのぼっての身分異動手続きが認められない」というのが原則ですが、3月に提出された退学届は偽造されたものであるため、その「退学届」自体が「無効」と判断されました。
このケースでは、4月に入ってから退学の取消が認められ、学生は4月以降も在学することになりました。
一方で、勝手に保護者署名欄を記載したということで「厳重注意処分」となりました。
一度、退学と認められたものが取り消されたわけですから、前章で説明した「大学側の問題」「学生側の問題」をクリアにする必要がありました。
- 【大学側の問題】
経理部で特例で授業料を徴収する手続きを行い、4月からの授業料を徴収。 - 【学生側の問題】
4月の数日は学籍がない日(退学で処理しているため)がありましたが、「私文書偽造」で学生が明らかに悪いため、授業料の減額等は行われませんでした。
私文書偽造のように、特例で対応したケースもありますが、遡りでの「取消」は原則認められないと思ってください。
もしかすると、管理が緩い大学もあるかもしれないので、窓口に問い合わせる価値はあります。
参考:退学届を提出した後の流れ
参考に、学生が退学届を提出した後の手続きの流れを紹介します。
- 休学届・退学届を大学事務に提出
- 教授会など会議で審議
- 学部・大学院から大学本部に報告
- 「休学許可証」「退学許可証」の発行
実際に、学生が休学届・退学届を大学事務に提出した後、内容に不備がないかを確認し、教授会などの会議で審議されます。審議とはいうものの、授業料の未払い等の不備がなければ、否認されることはありません。
会議が終わった後に、所属の学部・大学院(部局)から大学本部に報告され、学生の情報を管理する教務事務システムに登録されます。
教務事務システムに問題なく登録されたら、申請された「開始日」から「休学」「退学」の取り扱いになります。「休学許可証」「退学許可証」などの書類を学生さんが大学事務で受け取り、手続きは終了となります。
ちなみに、休学・退学の理由は正直に「留学のため」「成績不振のため」など正直に書類に記載したほうがいいです。大学で統計をとっており、「一身上の都合」と書いても具体的な理由を聞かれる可能性が高いです。
まとめ:退学取消は開始日前までに
退学届の大学内ルールについて解説してきました。
- 休学・退学の申請期限と取消期限は同じ
- 退学する日の前日までなら取消可能なことが多い
- 退学の申請期限は国立・私立で異なる
(国立大学は、退学する日の前日までは取消が可能)
(私立大学は、大学の定める申請期限までは申請・取消が可能)
万が一、ギリギリで申請・取消する場合はメールなどで記録が残るように伝えるということを心に留めておくといいでしょう。
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