退学届・休学届の取り消しはできる?大学での申請手続き

大学を休学・退学する場合には大学の事務への届出が必要です。
事務が書類を受理したら、手続きが完了するわけではなく、正式に休学・退学が認められるまで教授会での審議など時間がかかります。
書類を提出してから、休学・退学を取りやめたいという人もいます。実際に、留学のために休学届を出してから数日後に、留学先の受入がストップしてしまったという事例もあります。
「休学」「退学」の取消・申請は、開始日の前日までなら可能というのが基本的な考え方です。
- 休学、退学を開始する日の前日までなら取消可能なことが多い
- 休学・退学の申請期限は国立・私立で異なる(私立大学は、申請期限までは申請・取消が可能)
- 特例で開始日を過ぎて、取り消しが認められたケースもある
「退学」「休学」は学費の支払いにも関わるので、知らないと大変なことになるかもしれません。大学制度の知識として本記事を読んでいただければと思います。

「休学届」「退学届」を提出した後の流れ
- 休学届・退学届を大学事務に提出
- 教授会など会議で審議
- 学部・大学院から大学本部に報告
- 「休学許可証」「退学許可証」の発行
実際に、学生が休学届・退学届を大学事務に提出した後、内容に不備がないかを確認し、教授会などの会議で審議されます。審議とはいうものの、授業料の未払い等の不備がなければ、否認されることはありません。
会議が終わった後に、所属の学部・大学院(部局)から大学本部に報告され、学生の情報を管理する教務事務システムに登録されます。
教務事務システムに問題なく登録されたら、申請された「開始日」から「休学」「退学」の取り扱いになります。「休学許可証」「退学許可証」などの書類を学生さんが大学事務で受け取り、手続きは終了となります。
ちなみに、休学・退学の理由は正直に「留学のため」「成績不振のため」など正直に書類に記載したほうがいいです。大学で統計をとっており、「一身上の都合」と書いても具体的な理由を聞かれる可能性が高いです。
休学届・退学届の申請期限は国立・私立で異なる
休学の授業料を調べる際に、休学届の申請期限を調べました。国立大学では休学開始前の申請が必要ですが、私立では過去に遡っての休学申請を認めています。
授業料 | 在籍料等 | 休学届申請期限 | |
---|---|---|---|
東京大学 | なし | なし | 前月の第1木曜 |
京都大学 | なし | なし | 開始日の3週間前 |
早稲田大学 | なし | 5万円+諸会費等学部により数万円 | 春学期:5/31 秋学期:11/30 |
慶應義塾大学 | なし | 6万円+諸会費等学部により数万円 | 春学期:5/31 秋学期:11/30 |
青山学院大学 | 入学年度以外なし | 4万円 | 前期:6月末 後期:12月末 |
明治大学 | なし | 16万円+諸会費 | 前期:5/31 後期:11/20 |
日本大学 | なし | 12万円 | 前期:5/31 後期:11/30 |
亜細亜大学 | なし | 12万円+諸会費 | 春学期:6/30 秋学期:11/30 |
立命館大学 | なし | 1万円 | 春学期:5/31 秋学期:11/30 |
関西学院大学 | なし | 12万円 | 学期開始の1ヶ月後まで |
退学に関しても、私立は遡りでの申請が可能、国立は事前の申請が必要となっているケースが多いようです。
「休学」「退学」の取消・申請は、開始日の前日までなら可能というのが原則ですが、私立大学では申請の締切がそのまま取消期限だと考えていいでしょう。
「休学届」「退学届」の受理期間

受理期間を決めている大学もありますが、退学届・休学届は開始日の前日まで、受理してもらえる可能性があります。大学では学籍が「在学」「休学」「退学」などに変わる日を「異動日」と読んでいます。
開始日の前日までは申請・取消可能
原則として、休学・退学の開始日の前までに届ければ、「申請」「取消」の手続きができます。いつから提出開始という決まりはないことが多く、半年ほど前から提出することも可能です。
例えば、3/31付で退学したい場合には3/30までに退学届の提出が必要になります。
- 退学、卒業の場合・・・月末が異動日になります。 3/31退学、9/30卒業など
(退学・卒業の翌日から、学籍がなくなります。) - 休学、復学の場合・・・月初が異動日になります。4/1休学、10/1復学など(休学の当日から、学籍が「在学」から「休学」に変わります)
例えば、海外留学するために、2月末時点で4月からの休学を申請していたが、新型コロナウイルス蔓延の影響で留学できないことがわかり、3月中に取り消すことは可能です。
大学の所定の手続きを踏むこととなりますが、緊急時の取消については、ひとまず口頭・メールでの受付も可能としている大学が多いです。
補足すると、3月末に休学届・退学届を提出しても数日中に教授会などの会議が行われるわけではありません。教務事務システム上の在籍だけ、先に登録して会議終了後に許可証を発行する手続きをとっています。
このように処理しているため、書類の提出は開始日の前日まで受け付けることができます。
開始日当日以降は申請・取消不可
4/1になってから、「4/1からの休学申請」を取消すことはできません。
4/1になった時点で、あなたは「在学区分:休学」になっています。
4/1になってから、休学取消の手続きを行うことは、過去に遡って(さかのぼって)、情報を変更することになります。遡って手続きすることを「遡及(そきゅう)手続」といいます。
多くの私立大学では、もともと「遡及手続」を認めていることになります。
在籍料など休学者からも学費を徴収しているため、「5月まで授業を受けた学生を3/31に遡って休学」などの手続きができます。私立大学では締切日以降の申請・取消は不可という理解で大丈夫です。

開始日以降に申請・取消ができない理由
過去に遡って区分を変えてしまうと大学側・学生側に不利益になることがあるため、原則禁止となっています。
例えば、4/10になってから、4/1からの休学取消を認めてしまうと以下の問題点が考えられます。
- 【大学側の問題】
・授業料を新たに徴収しなければならない(休学期間中は授業料免除) - 【学生側の問題】
・4月上旬に「区分:在学」であれば受けれらたサービスが受けられない
双方が納得すれば、たいした事ではない問題ですが、数千人・数万人の学生が在籍する大学では個別に対応することができません。市や国の制度が、各種手続きに締切を設けているように、大学も手続きの締切を設けているということです。
やむを得ない理由があれば、受け入れられる可能性もあるので、大学の教務課に一度相談してみる価値はあります。

【例外】遡りで退学届が取消されたケース

例外的に、「退学届」が過去に遡って取消されたケースがありましたので、参考に紹介いたします。
3/31付の退学の申請が学生から3月中に出され、大学として受理していました。その後、4月になって退学届の書類の偽造が発覚して、取消が認められたというケースです。
【退学届の偽造が発覚し、取消が認められたケース】
退学届には保証人署名欄があり、授業料を支払っている保護者の確認の署名が必要となっています。
3月に提出された「退学届」では、学生が自分で保証人欄を記載していた(私文書偽造)。4月になって学生と保護者の間で言い争いになり、偽造が発覚したというケースです。
「過去にさかのぼっての身分異動手続きが認められない」というのが原則ですが、3月に提出された退学届は偽造されたものであるため、その「退学届」自体が「無効」と判断されました。
このケースでは、4月に入ってから退学の取消が認められ、学生は4月以降も在学することになりました。
一方で、勝手に保護者署名欄を記載したということで「厳重注意処分」となりました。
一度、退学と認められたものが取り消されたわけですから、前章で説明した「大学側の問題」「学生側の問題」をクリアにする必要がありました。
- 【大学側の問題】
経理部で特例で授業料を徴収する手続きを行い、4月からの授業料を徴収。 - 【学生側の問題】
4月の数日は学籍がない日(退学で処理しているため)がありましたが、「私文書偽造」で学生が明らかに悪いため、授業料の減額等は行われませんでした。
私文書偽造のように、特例で対応したケースもありますが、遡りでの「取消」は原則認められないと思ってください。
もしかすると、管理が緩い大学もあるかもしれないので、窓口に問い合わせる価値はあります。
まとめ:退学・休学取消は開始日前までに
休学届・退学届の大学内ルールについて解説してきました。
- 休学、退学を開始する日の前日までなら取消可能なことが多い
- 休学・退学の申請期限は国立・私立で異なる(私立大学は、申請期限までは申請・取消が可能)
- 特例で開始日を過ぎて、取り消しが認められたケースもある
万が一、ギリギリで申請・取消する場合は「開始日」の前日までに確実に、メールなどで記録が残るように伝えるということを心に留めておくといいでしょう。
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